宇部興産（東京都港区、山口県宇部市）は9月29日、車載用リチウムイオン電池の需要拡大に対応するため、堺工場（大阪府堺市）内のセパレータ製造設備の増強を決定したと発表した。

　増強計画は、堺工場において現在建設中の新規設備に続くもので、2018年4月完工予定。この増強により、宇部ケミカル工場と堺工場での生産能力は合計2.5億㎡となる。

　リチウムイオン電池は、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの車載用途で大きな成長が期待されており、実需も立ち上がりつつある。 また、定置蓄電用途や産業用途などへの展開も更に進むことが見込まれている。

　同社のセパレータは乾式製法を特徴として、既に車載用として多くの採用実績を有している。2011年に設立した日立マクセルとの合弁会社である宇部マクセル（京都府乙訓郡）では高機能塗布型セパレータを生産しており、トヨタ自動車の4代目プリウスのリチウムイオン電池にも採用されるなど、国内外市場の伸びとともに着実に販売数量を伸ばしている。

　同社は、今年度からの中期経営計画においてセパレータ事業を「積極拡大事業」と位置づけており、需要拡大に対応し能力増強を図ることで、拡大基調にある車載用途でのプレゼンスをより強固なものとしていく。2020年頃までには合計3億㎡へと能力を段階的に引き上げていく計画。