日本製紙、富士工場内にCNF強化樹脂の製造設備設置/17年6月の稼働
2016年12月16日
日本製紙(東京都千代田区)は15日、CNF強化樹脂の実用化を推進するため、富士工場(静岡県富士市)に実証生産設備を設置すると発表した。
設備は2017年6月に稼働する予定で、年間10トン以上のCNF強化樹脂を生産。自動車、建材、家電など、幅広い産業へ向けてサンプル提供を開始する。
CNFは、木材パルプをナノレベルまで細かく解繊したもので、樹脂などへの混練により、樹脂を軽量で高強度化する新素材としての利用が期待されるが、親水性が高いため、樹脂などに均一に分散させることが技術的に困難だった。
同社は、パルプの有効な疎水化法と、樹脂との混練時にナノ解繊することにより、安価で高品質なCNF強化樹脂を作り出す手法を開発。今回、CNF強化樹脂を大量生産する製造技術の実用化を目指すとともに、具体的な用途開発を進める。
そのほか、2017年下期から、CNFの用途開発を進めるCNF研究拠点を富士工場に移転する。CNFについては、すでに石巻工場(宮城県石巻市)、ケミカル事業本部江津事業所(島根県江津市)の2拠点で、用途に応じたCNF量産設備の設置を進めているが、CNF強化樹脂では、関東・中部地域での自動車用途などでの利用を見込んでおり、富士工場での実証生産を通じて実用化のスピードアップを図る。
■ 設備投資概要
所在地:静岡県富士市比奈798(富士工場)
生産品目:CNF強化樹脂
生産能力:年10トン以上
稼働開始予定:2017年6月