東レ（東京都中央区）は9日、米国ボーイング社と既存の「787」に加え、新型機「777X」向けに炭素繊維トレカ®プリプレグを供給する包括的長期供給契約を正式に締結。これに合わせて米国サウスカロライナ州スパータンバーグ郡に生産設備を新設すると発表した。

　同契約は、2005年11月に締結した包括供給契約を本年からさらに10年以上延長するもので、今後の｢787｣、｢777X｣向けの契約期間における同社グループの供給総額は、1.3兆円（110億ドル）を超える見込み。

　｢787｣では、当初から主翼、胴体などの一次構造部材にトレカ®プリプレグが採用されているが、生産機数を現行の月産10機から、2016年に月産12機、2019年末までには月産14機まで引き上げることが計画されていることに加え、今後は「787」ファミリーの派生型（モデルミックス）の導入により、炭素繊維複合材料の大幅な需要増が見込まれている。

　また、｢777X｣は、ボーイング社が現行｢777｣の後継機として2020年に初号機を納入する計画で開発を進める大型双発旅客機で、今回の契約締結により、その主翼材料としてトレカ®プリプレグの採用が正式に決定したという。

　新工場は、約500億円を投じ、年産能力2,000トンの原糸から焼成まで一貫の高性能炭素繊維トレカ生産設備、および炭素繊維トレカを使用したプリプレグ（炭素繊維樹脂含浸シート）の生産設備を導入。

　2017年5月以降、原糸から順次生産を開始し、認定取得完了後の2019年から供給開始を予定。

　また、新規事業用地において、2020年までに1,000億円規模を投じて米国での炭素繊維複合材料事業の拡大を図ることを計画。今回の投資はその第一弾。引き続き新規事業用地における生産設備の増強を実施していくとしている。