富士フイルム、米・英拠点で抗体医薬品の設備増強
富士フイルム(東京都港区)は6日、バイオ医薬品の開発・製造受託の事業拡大を加速させるため、米国・英国のバイオ医薬品のCDMO拠点に総額約32億円の設備投資を行うと発表した。
FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下:FDB)の米国テキサス拠点に約22億円を投じて抗体医薬品の生産に必要な設備を追加導入するとともに、英国拠点には約10億円をかけて同医薬品の生産プロセスの開発拠点を拡張して設備増強を図る。2018年秋より新設備を順次稼働させ、抗体医薬品のプロセス開発・製造の受託能力を拡大させる。
今回、拡大する受託ニーズに対応するため、当初の計画より前倒しして追加設備投資を決定。米国テキサス拠点では新生産棟に導入中の3基に加え、同様のシングルユース仕様の2,000リットル動物細胞培養タンクをさらに3基導入し、計6基の生産体制を整備する。
また、英国拠点では生産プロセスの開発拠点を約930㎡から倍増させ、医薬品の成分などを高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備などを拡充する。これにより、「Saturn mAbプラットフォーム」を活用した抗体医薬品のプロセス開発・製造の受託能力を増強する。同プラットフォームへの累計設備投資額は約172億円となる。
バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合は高まっており、なかでも抗体医薬品の市場は大きく伸長している。
バイオ医薬品の生産には、タンパク質などの培養・抽出・精製といった高度な生産技術と設備が必要であるため、製薬企業やバイオベンチャーなどが優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが世界的に急増している。これに伴い、バイオ医薬品の開発・製造受託市場は年率8%の成長が見込まれている。
今後、富士フイルムは、バイオ医薬品のさらなる生産能力の増強を行うとともに、グループの技術を結集して高効率・高生産性の技術開発を進め、2023年度にはバイオCDMO事業で1,000億円の売上を目指す。
■ 設備投資概要
◇ 米国テキサス拠点
会社名:FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC
所在地:College Station, TX, US
投資額:約22億円
目的:抗体医薬品の生産能力増強
内容:生産棟、シングルユース仕様の動物細胞培養タンク(2000リットル×6基)など
稼働開始予定:2018年初め(2000リットル×3基)
:2019年夏(2000リットル×3基)
◇ 英国拠点
会社名:FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited
所在地:Wilton Centre, Redcar, UK
投資額:約10億円
目的:抗体医薬品の生産プロセスの開発能力増強
内容:医薬品の成分などを高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備など
稼働開始予定:2017年9月(930㎡)
:2018年秋(約900㎡)