富士フイルム、英国拠点で設備投資/バイオ医薬品増産
富士フイルムは18日、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下:FDB)の英国拠点に約90億円の設備投資を行うと発表した。
バイオ医薬品は、副作用が少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占める割合が高まっている。現在、バイオ医薬品には、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬などがあり、それぞれの製造には、微生物培養や動物細胞培養、ヒト細胞培養などが用いられるが、高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬企業やバイオベンチャーは優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが急増している。
富士フイルムは現在、FDBの米国拠点に動物細胞培養タンクやヒト細胞培養設備など大規模投資を行い、抗体医薬品や遺伝子治療薬の受託能力を増強している。また、微生物培養によるバイオ医薬品市場においても、30年以上にわたる受託実績と、業界トップクラスのたんぱく質生産効率などを実現する高生産性技術「pAVEway(ペーブウェイ)」を強みに受注を拡大させている。
今回、富士フイルムは、新規顧客からの生産要請に加え、既存顧客からの増産要請にも対応するため、FDBの英国拠点に設備投資を行い、微生物培養によるバイオ医薬品の原薬の製造設備を増強する。具体的には、2,000リットル微生物培養タンク(2基)や精製設備などを備えた製造ラインを新設する。さらに、既存製造ラインのユーティリティ設備や精製プロセス設備なども増強することで、生産量を大幅に向上させる。今回の設備投資により、英国拠点の微生物培養による原薬の生産能力は現状比約3倍となる。
■ 設備投資概要
会社名:FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited
所在地:Billingham, UK
総投資額:約90億円
投資内容:新製造ライン
:2,000リットル微生物培養タンク(2基)や精製設備などの導入
:既存製造ライン
:ユーティリティ設備や精製プロセス設備などの増強
着工予定:2020年3月
稼働予定:2022年以降