富士フイルム、米国子会社が40億円の設備投資
富士フイルムは5日、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)に設備投資を行うと発表した。
投資額は約40億円で、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造拠点を米国ボストンエリアに新設する。今後、新拠点の設備を順次稼働させ、2021年秋にプロセス開発、2023年秋に原薬製造の受託を開始する予定。
新拠点には、細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析設備や細胞培養タンクなどを導入。生産プロセス開発から、初期の臨床試験に用いる治験薬の原薬製造までを受託する。
さらに、新拠点を遺伝子治療薬の原薬の大量製造や製剤化にも対応できる米国テキサス拠点と連携させることで、顧客の開発進展に伴う治験薬のスケールアップや商業生産などの顧客ニーズに対応する。
遺伝子治療薬は、疾患の原因となる遺伝子を持った患者に、ウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入することで疾患を治療するバイオ医薬品。遺伝子治療薬の製造には、複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備などが求められ、また製造に最適なプロセスの開発も必要であることから、優れた技術と設備を有するCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造を一括して委託するニーズが高まっており、受託ビジネスの需要も急伸している。
富士フイルムは現在、総額約130億円をかけて米国テキサス拠点に遺伝子治療薬のプロセス開発棟の新設と原薬製造設備の増強を進めている。また、英国拠点でも、2021年春の稼働開始に向けて、遺伝子治療薬のプロセス開発・製造施設の開設準備を進めている。
■ 設備投資概要
会社名:FUJIFILM Diosynth Biotechnologies
所在地:米国ボストンエリア(マサチューセッツ州ウォータータウン市)
投資額:約40億円
導入機器:生産プロセス開発設備/細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析機器など
:原薬製造設備/細胞培養タンク(50リットル×1基、200リットル×1基)など
着工予定:2021年1月
稼働開始予定:プロセス開発/2021年秋
:原薬製造/2023年秋