APB、福井の新工場が稼働開始/全樹脂電池の製造
2021年5月26日
三洋化成工業は25日、持分法適用会社のAPBが建設を進めていた新工場が完成し、10月からの稼働を開始すると発表した。
新工場は、世界初の全樹脂電池の量産工場となり、従来のリチウムイオン電池工場とは大きく異なる特徴を持つ。廃液が出ないだけでなく、乾燥工程をはじめとする多くのプロセスを排除することで、使用エネルギーを削減することにも努めるなど、環境保護、保全効率の向上を重視した設計となっている。
量産開始当初は、特殊用途を中心に生産を行うが、高エネルギー密度という特長を生かし、定置用蓄電池や各種モビリティ用途にも対応して生産を拡大させる。将来的には武生工場を事業拠点として、生産拠点の世界各地への展開を目指す。
APBは、全樹脂電池(All Polymer Battery)の製造販売を行うスタートアップ企業。全樹脂電池は、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。
こういった独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現すると同時に、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。
また、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長だとしている。
■ 新工場概要
名称:APB福井センター武生工場
所在地:福井県越前市庄田町
敷地面積:約32,842㎡
延床面積:約9,628㎡
構造:2階建て
事業内容:全樹脂電池の設計、製造
操業開始予定:2021年10月頃