工場・物流施設を中心とした設備投資情報を配信

サイコックス、SiC基板開発ライン増設

2022年7月25日

 住友金属鉱山は22日、100%子会社のサイコックスが8インチ貼り合せSiC基板開発ラインを増設すると発表した。

 SiCは主に電力を制御する用途で使用されるパワー半導体に使用される半導体材料。従来のシリコンと比較して高電圧に対応可能で、エネルギー損失も大幅に低減できることから、特に近年はハイブリッド車や電気自動車などの駆動制御装置で要求される大容量領域(大電流・高耐電圧)で、装置全体の小型化、EVの航続距離向上も後押しできる優れた材料として、注目されている。SiCパワーデバイスの市場は急速に拡大しており、2025年には2021年比5倍の3,500億円前後の規模に成長すると推測されている。

 サイコックスが製造する貼り合せSiC基板「SiCkrest(サイクレスト)」は、独自の接合技術を応用してウエハーを2層化することで、性能面とコスト面を両立させた製品。低抵抗多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶を薄く貼り合せることによって、単結晶SiCの特性を維持しつつ、基板全体の低抵抗化、高強度化を実現している。

 また、希少で高価な単結晶基板1枚から50枚以上の貼り合せ基板を製造可能なため、急速な拡大が見込まれるSiC基板需要に柔軟に対応し、環境負荷低減も実現する。サイコックスでは、2017年より6インチSiCkrestの量産実証ラインの構築を進め、一部の顧客への販売を行っており、今回の8インチ開発ライン導入により、顧客の大口径基板の要望に早期に対応可能になる。

■ 設備投資概要

所在地:鹿児島県伊佐市大口牛尾1755番地2(大口電子内)
生産品目:8インチ貼り合せSiC基板
生産能力:1万枚/月(2025年、既存6インチラインとの合計)【6インチ換算】
完工予定:2024年3月

このエントリーをはてなブックマークに追加