旭化成、川崎製造所の水素製造設備を着工
旭化成は7日、川崎製造所(神奈川県川崎市)で水素製造用のアルカリ水電解パイロット試験設備を着工したと発表した。
水素関連事業は、同社の中期経営計画で、次の成長を牽引する10のGrowthGears(GG10)にも挙げられている注力領域。現在、食塩電解領域における実績・知見を活用し、水素製造用のアルカリ水電解システムを中心とした水素に関する事業の開発を推進している。
同社は、NEDO委託事業の一環として、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)に10MW級大型アルカリ水電解装置を設置し、2020年より各種試験を実施してきた。さらに、FH2Rで培った技術成果をベースとし、複数の10MWモジュールからなる大型アルカリ水電解装置を2025年までに上市する予定。
また、水素需要の拡大に対応するため、さらなる設備の大型化が必要と考えている。加えて、変動する再生可能エネルギー由来の電力活用へも対応できる信頼性の高い製品の技術開発が課題となっている。
そうした課題を解決するため、複数の電解槽モジュールで構成され、変動応答性や長期耐久性といった多様な実証試験が可能なパイロット試験設備の導入を決定した。新設備導入により、水電解技術開発を加速させる。
設備は、複数のモジュールから構成されているため、仮に運転中に1モジュールが故障した場合や、夜間を想定した低出力運転など、様々な環境における装置挙動を再現でき、機器設計や運用手法、制御技術の検証と改良に役立てる。
また、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは出力が不安定なため、水電解装置には高い変動応答性が求められている。新設備はこうした変動がシミュレートできる装置設計としているため、再生可能エネルギーとの連携や電力系統の調整力が検証可能。
新設備は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の助成を受けて建設・運用する。
■ 設備投資概要
所在地:神奈川県川崎市川崎区夜光1-3-1(川崎製造所)
設備:水素製造用のアルカリ水電解パイロット試験設備
着工:2022年10月下旬
運転開始予定:2024年初頭