三井化学、名古屋工場内に炭素繊維の実証設備建設
2022年11月17日
三井化学は16日、マイクロ波化学と検討していた環境負荷の低い革新的な炭素繊維(CF)の実証設備を名古屋工場内に建設すると発表した。
マイクロ波化学が有するCF焼成技術「Carbon-MX」は、製造工程中で最もエネルギー消費の大きい耐炎化プロセスに加え、炭化プロセスの両工程を一貫してマイクロ波により焼成する革新的なもの。
今回、「Carbon-MX」実証設備導入で、マイクロ波化学が焼成ラインの機器一式を三井化学に供給し、三井化学は同技術を含む全体プロセスを構築する。
実証設備完工以降は、両社共同で量産技術確立の検討を進める予定。同技術は、対象を内部から加熱できるマイクロ波の特性を生かすことにより、無駄な加熱を徹底的に排除した革新的なプロセス。
従来法と比較し、加熱処理時間が大幅に短縮するため、焼成プロセスのラインが短くなり、設備をコンパクトにすることが可能。また、装置自体の温度が高温にならないため、装置コスト、エネルギー消費、さらには安全面でもメリットが見込まれる。
現時点の両社の見込みでは、エネルギー消費量が約50%削減され、将来的にマイクロ波を発生させるための電源を再生可能エネルギーに変更することで90%以上のCO2排出削減が期待できるという。
■ 設備投資概要
所在地:愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地(名古屋工場内)
投資額:約20億円
生産方式:「Carbon-MX」方式による焼成を含むプロセス
完工予定:2023年12月