住友化学、愛媛工場にアクリル樹脂のリサイクル実証設備
住友化学は23日、愛媛工場(愛媛県新居浜市)にアクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)のケミカルリサイクル実証設備を新設したと発表した。
2023年春からケミカルリサイクル品のサンプル提供を開始し、使用済みアクリル樹脂の回収から再資源化を経て、製品として使用するまでの一貫した資源循環システムの構築を本格化させる。
アクリル樹脂は、プラスチックの中でも極めて高い透明性を有するほか、耐候性や加工性にも優れ、自動車のテールランプや家電、水槽、液晶ディスプレイ、飛沫防止板などに広く使用されている。一方、化石資源を原料としたプラスチックについては、製造から使用後の処理までの過程で排出する温室効果ガス(GHG)を削減し、その再資源化を推進することが、喫緊の課題となっている。
今回、アクリル樹脂を熱分解し、原料となるMMA(メチルメタクリレート)モノマーに高効率で再生する技術を(株)日本製鋼所と共同開発し、愛媛工場に実証設備を新設した。新設備には、住友化学の二軸混練押出機を導入しており、住友化学は、アクリル樹脂を高品質に再生する技術の実証と量産化の検討を行う。再生したMMAモノマーは、化石資源を原料とした材料と同等の品質で、従来品と比べて製品ライフサイクル全体のGHG排出量を60%以上削減できる見込み。
再資源化の仕組みづくりにも既に着手しており、長年の協業先である日プラ(株)や大手家電メーカーなどから廃材や使用済みアクリル樹脂を回収するとともに、再資源化した樹脂の顧客開拓も進めている。今後、異業種と連携してアクリル樹脂の回収から再生、製品化まで取り組むことで、アクリル樹脂の資源循環システムの構築を加速させる。
■ 設備投資概要
所在地:愛媛県新居浜市惣開町5番1号(愛媛工場)
導入設備:アクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)のケミカルリサイクル実証設備
サンプル提供開始予定:2023年春