JFEスチール、岡山のスチール研究所に試験設備導入
2023年11月17日
JFEスチールは16日、液体アンモニア中における鋼材の応力腐食割れ発生のリスク評価試験設備をスチール研究所(倉敷地区)に導入したと発表した。
世界的に脱炭素社会への移行が進む中、CO2を排出しないアンモニアが注目を集めている。日本では、このアンモニアを火力発電燃料や船舶燃料として利用することが期待され、それに伴いアンモニアの貯蔵タンクの大型化が求められている。この大型化には高強度鋼の開発が不可欠であり、その需要が高まっている。
アンモニアの液体化は貯蔵や船舶輸送に必要となるが、液体アンモニアは応力腐食割れ(SCC)のリスクを引き起こす可能性がある。特に、炭素鋼は高強度化に伴い、液体アンモニア中でSCCが発生しやすくなるため、発生リスクを適切に評価する必要がある。また、液体アンモニアは毒性や可燃性の液化ガスであるため、高圧ガス保安法に準拠した建屋と試験設備を新たに建設した。材料の耐SCC性を評価できる試験片を浸漬するだけでなく、さまざまな電気化学測定が可能となる。
今後、試験設備の活用により、アンモニアタンク用鋼材の開発を促進するとともに、試験方法・材料の標準化・規格化といった社会的ニーズにも積極的に対応する方針。
■ 試験設備概要
所在地:岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(スチール研究所(倉敷地区))
設備:液体アンモニア中における鋼材の応力腐食割れ発生のリスク評価試験設備
稼働開始:2023年10月末