DICは29日、100%子会社の南通迪愛生色料有限公司（以下：南通DIC）が南通経済技術開発区工業園区南区に新インキ工場の建設を開始したと発表した。

　南通DICは、2002年に中国江蘇省南通市で設立されて以降、現工場でオフセットインキやグラビアインキを中心としたインキ製品を生産しており、中国国内におけるインキの重要生産拠点の1つ。こうした中、2021年に南通市政府から同工場が揚子江に近接していることを理由に、環境保全を目的とした移転の要請を受けた。この要請に対応するため、同工業園区内の南区に南通市政府が提供する用地への移転を決め、新工場の建設を開始した。

　新工場は、生産プロセス・付帯施設の効率化を設計コンセプトとして広く取り入れている。主要品目のリキッドインキの生産現場では、原料の仕込みや充填工程などに最新の設計を施し、生産ラインの自動化を図る予定。また、ユーティリティの面でも、最新のモーター、空調、照明設備などの機器を採用することで工場全体の省エネルギー化を実現し、生産効率を高めることで、コスト競争力が強化する見込み。

　同社グループは、中国における総合インキ企業No.1に向けた基盤強化として、国内3拠点体制（華東・華南・華北／東北）の構築を進めている。
南通DICの新工場は華東地区の生産拠点の中心として、一部品目については中国全域のマザープラントとしての重要な役割を果たしていく。新工場は2025年から生産を開始する予定で、生産開始後は、現在、操業を行っている同園区の北区に位置する既存工場を閉鎖する予定。