富士フイルムは25日、熊本拠点で半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーの生産設備を本格稼働させたと発表した。

　新設備は、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ（以下：FFEM）が、熊本県に立地しディスプレイ材料を生産する富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング 九州エリア（以下：FFMT九州）に約20億円を投資して新設したもので、FFMT九州を半導体材料の熊本拠点として始動させ、ディスプレイ材料だけでなく半導体材料も生産し安定供給を図る。CMPスラリーの国内生産は、富士フイルムとして今回が初めてとなる。

　5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などを背景に、半導体の需要拡大と高性能化が見込まれている。こうした中、半導体製造プロセスで使用される半導体材料では、高品質・高性能な製品の安定供給がますます重要となっている。

　CMPスラリーは、硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤で、年率10%の市場成長性を有している。富士フイルムは、米国アリゾナ州・韓国天安市のほか、台湾の新竹市にCMPスラリーの生産拠点を有し、CMPスラリーの売上を拡大させている。

　CMPスラリーの国内生産化により国内顧客への迅速供給を図るとともに、日本が加わり生産能力が拡大した世界4拠点のCMPスラリーの生産体制でグローバルの需要増に対応する。なお、FFMT九州では、イメージセンサー用カラーフィルター材料を生産する最新設備を2025年春に稼働させ、半導体材料の生産品目を拡充する計画。