太平洋セメント、山陽小野田市でCO2回収型セメント実証試験設備完成
太平洋セメントは3日、太平洋マテリアルの小野田工場内で「CO2回収型仮焼炉」の実証試験設備が完成したと発表した。
同事業では、セメント製造工程から発生するCO2のうち、約70%が仮焼炉で発生することに着目し、従来の仮焼炉をCO2回収型仮焼炉に置き換えることにより、コンパクトな設備で効率よく高濃度CO2を回収する技術開発や、回収CO2を合成メタンに転換し、セメント製造時の熱エネルギー等に活用するため、セメント製造プロセスに適したメタネーション技術開発に取り組んでいる。
今後は実証試験設備を用いた実証試験段階に移行する。CO2回収型セメント製造設備の技術開発とセメント製造プロセスに適したメタネーション技術開発に取り組み、実機実装に向けて実証を進める。
同社は、セメント製造工程に適したカーボンリサイクル技術の開発は、セメント産業の将来につながる最重点課題であるとともに、同社の成長戦略と位置付けている。同事業などの革新的な技術開発により、2050年までにサプライチェーン全体としてのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みをさらに加速させる。
■ 実証試験設備概要
名称:CO2回収型セメント製造設備とメタネーション設備
設置場所:山口県山陽小野田市大字小野田6276(太平洋マテリアル 小野田工場内)
能力:C2SPキルンⓇ:2.4トン-CO2/日(クリンカ生産能力:5トン/日)
:メタネーション設備:300Nm3-メタン/日
竣工式:2024年3月7日
◇現時点での想定スケジュール
①C2SPキルンⓇ
・2023~2025年:太平洋マテリアル(株)小野田工場内で実証試験実施。
・2026~2030年:カーボンニュートラルモデル工場とする構想である(株)デイ・シイ川崎工場
で実機実証設備工事を実施。実機実証試験、技術開発完了。
・2031~2050年:(株)デイ・シイ川崎工場で実機稼働。以降、順次同社グループ内へ展開。
②メタネーション設備
・2024~2025年:太平洋マテリアル(株)小野田工場内で実証試験実施。
・2026~2030年:開発したメタネーション技術の実現可能性調査実施、技術開発完了。