デンカは3月19日、千葉工場（千葉県市原市）内に関連会社の東洋スチレン（東京都港区）と使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルプラントを建設したと発表した。

　プラスチックは社会生活に欠かせない素材である一方、海洋流出や、廃プラスチックの焼却による温室効果ガス排出等による環境への影響が国際的な重要課題となっている。同社グループのケミカルリサイクルは、ポリスチレンを化学的に分解し、化学原料（スチレンモノマー）の状態に戻したあと再度重合することで、新品同等の品質と物性で用途の制限無く使用可能なリサイクル手法。サーマルリサイクルのように焼却しないため、二酸化炭素排出量が少なく、より環境に配慮したリサイクル方法だという。

　新プラントは、東洋スチレン社がポリスチレン樹脂のケミカルリサイクルの技術優位性と実績を有する米国Agilyx社との技術ライセンス契約を経て、2022年2月から建設を進め、2024年3月に竣工した。今後、新プラントで再生したポリスチレンは、マスバランス方式(*1)による提供を検討しており、現在、同社グループ各製造拠点でISCCPLUS認証取得の準備を進めている。

　プラント竣工により、千葉県市原市が取り組む「市原発サーキュラーエコノミーの創造」の市民・企業・行政が一体となったプラットフォームへ参画し、市原市内で発生した使用済みポリスチレンの回収の仕組みづくりに着手する。この取り組みを皮切りに、消費者からのポストコンシューマー材(*2)回収システムの構築を目指す。

(*1)異なる原料(例：石油由来原料と廃プラスチック由来のリサイクル原料)が混合される場合に、特定の原料の投入量に応じて生産する製品の一部にその特性を割り当てる流通管理方式
(*2)消費者による使用済みプラスチックを資源として再利用する材料