川崎重工、神戸工場で水素混焼ガスエンジン設備建設
川崎重工は15日、発電出力8MW級の大型ガスエンジン発電設備で、水素30%混焼フルスケール実証設備の建設工事に国内で初めて着手したと発表した。
実証設備の工事は、神戸工場で稼働している都市ガスを燃料とする発電出力7.5MWのガスエンジン発電設備(エンジン型式:KG-18-T)を水素混焼対応仕様へ改造するもので、主に水素供給システムの追設とエンジン燃焼室の改造を行う。設備は2024年5月に竣工し、同年10月より水素混焼ガスエンジン発電設備としての運用を開始する予定。
同社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた水素混焼ガスエンジンの開発に取り組んでいる。水素は都市ガスや天然ガスに比べ燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性から、異常燃焼が生じる可能性や、燃焼室の部品が過熱することによる早期劣化が懸念されている。
この課題に対し、発電出力・水素混合比率など顧客の運転環境に応じて燃焼状態を適正に制御できる独自のエンジン制御システムを構築したことに加え、燃焼室仕様の変更により、水素混焼運転時も、従来のガスエンジンと同じ発電出力を達成した。この技術は、単気筒試験機による実証運転により、水素混焼時でも安定した運用が可能になる。また、水素を体積比30%の割合で都市ガスと混焼した場合、都市ガスだけを燃焼させた場合と比べ、約420世帯分の年間排出量に相当する約1,150トンのCO₂を削減する。
実証設備「カワサキグリーンガスエンジンの水素混焼モデル」の市場投入と既設エンジンに対する水素混焼改造工事の展開は2025年を予定している。
■ 設備投資概要
所在地:兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1−1(神戸工場)
設備:水素30%混焼フルスケール実証設備
竣工予定:2024年5月
運用開始予定:2024年10月