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デンカ、鎌倉市の大船工場稼働停止

2024年9月13日

デンカは9日、2026年3月末を目途に大船工場(神奈川県鎌倉市)の稼働を停止すると発表した。

 同工場の主力製品である「Toyokalon」については、シンガポール子会社のDenka Advantech Pte.Ltd.South Plant(以下:DAPL)に事業を集約し、ポリエチレン横延伸フィルム「カラリヤンY フィルム」と包装用粘着テープ「カラリヤン テープ」については、事業撤退する予定。

 同工場は1949年に旧東洋化学(株)として塩ビ樹脂加工製品の製造を開始。現在はファッション用ウィッグの原糸としてToyokalonを製造している。Toyokalonは、販売面ではトレンドシフトによる需要構造の変化に加え、コロナ禍以降、主要販売地域であるアフリカ経済の停滞により需要が低下している。コスト面でも原料価格高騰や固定費の増加により、厳しい収益状況にある。また、主に包装材として使用されているカラリヤン テープでは簡易包装化の影響により販売数量が減少しており、今後の事業の維持・成長が見込まれず、同テープの原料の一部でもあるカラリヤンY フィルムについても単独による事業継続が困難と判断した。

 Toyokalonは製造・販売・研究をDAPLへ順次移管し、2026年3月末までに同工場での生産を停止する予定。DAPLでは構造改革によるコストの削減と新製品へのシフトで収益の向上を図るとともに、ラストフロンティアであるアフリカ市場への前線拠点として機能を強化することで、高収益事業への転換を進める。カラリヤンY フィルムとカラリヤン テープについては、2026年3月末までに同工場での生産を停止する予定。工場内設備、工場用地と営業権等については、今後の予定は未定だが、売却も含め有効活用を検討していく。また、同工場の従業員については、雇用維持を最優先とし、同社グループ内での配置転換を進めていく。

■ 大船工場概要

工場名:デンカ大船工場
所在地:神奈川県鎌倉市台2-13-1
操業開始:1949年11月
従業員数:(臨時雇用者含む)137名(2024年8月31日現在)
事業内容:ファッションウィッグ用合成繊維、包装用粘着テープ、機能性フィルムの開発と製造
稼働停止予定:2026年3月末

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