富士フイルム、デンマーク拠点の第1次設備稼働
富士フイルムは5日、子会社でバイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)のFUJIFILM Diosynth Biotechnologiesが、デンマーク拠点の第1次設備増強工事を完了し、稼働を開始したと発表した。
富士フイルムは、抗体医薬品の旺盛な製造委託ニーズに対応するため、20,000リットルの動物細胞培養タンク30基の増設をアメリカ・デンマーク2拠点で進めている。
今回、約1,000億円を投じたデンマーク拠点の第1次投資設備6基が稼働した。同拠点で進行中の第2次投資ではさらに8基の増強を行い、2026年の稼働を予定している。これにより同拠点は、既存設備20,000リットルのタンク6基を含め抗体医薬品の原薬製造能力は合計20基、欧州最大のCDMO拠点となる見込み。
さらに米国ノースカロライナでは、20,000リットルの動物細胞培養タンク16基を備える新拠点の建設を進めている。第1次投資の8基は2025年、第2次の8基は2028年に稼働予定。また、デンマーク・ノースカロライナの両拠点には、製剤設備も新たに導入し、バイオ医薬品の原薬製造から充填・最終製剤化までの一貫受託体制を構築する。両拠点は共通の設計・設備(Kojo X)を採用し、建設期間短縮と迅速な製造プロセス技術移管により高品質を確保する。
富士フイルムは2011年以降、バイオCDMO事業に1兆円以上を投資し、抗体医薬品や細胞治療薬、遺伝子治療薬、ワクチンなど幅広いバイオ医薬品を対象に生産プロセス開発受託、小規模生産から大規模生産、原薬から製剤・包装までの製造委託ニーズに対応するグローバル体制の構築を進めている。
■ 設備投資概要
【第1次設備投資】
投資額:約1,000億円
設備投資内容:既存建屋の増床、20,000リットル動物細胞培養タンク(6基)などの導入、製剤製造システムの導入、多品種のシリンジ用デバイスの組立が可能な機器や自動ラベル貼付・梱包装置などの導入
稼働:2024年11月(製剤製造システムは2025年半ばを予定)
【第2次設備投資】
投資額:約2,000億円
設備投資内容:新棟の建設、20,000リットル動物細胞培養タンク(8基)などの導入
稼働予定:2026年