武蔵精密工業、山梨県北杜市に新工場建設
武蔵精密工業は7日、連結子会社である武蔵エナジーソリューションズ(株)の新工場を建設すると発表した。
武蔵エナジーソリューションズは、電気二重層キャパシタとリチウムイオンバッテリーの技術を組み合わせたハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)を製造し、世界でも希少な大量生産体制を備えている。HSCは高エネルギー密度、長寿命、メンテナンスフリー、安全性といった特長があり、国内外で瞬時電圧低下・短時間停電の補償装置や、軌道交通のエネルギー回生システム、太陽光・風力発電の平準化用途などに活用されている。
北米市場では、生成AIの急速な普及により、2030年に向けてデータセンターの数が大幅に増加する見通しで、今後データセンターで消費する電力量の急増が予想されるとともに、需給の逼迫による電力システムの不安定化が懸念されている。
同社グループは、データセンター運営事業者等に対してHSCの特性を活かした電力使用量を効率化する独自のソリューションを提案している。世界大手の電機電子機器の受託サービス企業であるFlex社をはじめとした複数の引き合いを受けており、量産開始の準備を進めている。
こうしたデータセンター向け需要に対応するため、山梨県北杜市の工場の年間生産能力を20万セルから150万セルに拡張し、今年度内の完了を目指している。また、予想を上回るHSC需要に対応するため、山梨県南アルプス市に新工場を建設し、年間生産能力を合計650万セルに増強する計画。
新工場では、同社の強みであるものづくり力を最大限発揮し、新技術の導入と生産プロセスの最適化によるQCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の進化を実現し、事業競争力と収益力の向上を目指す。
■ 新工場概要
所在地:山梨県南アルプス市鏡中條字中河原4036番1
敷地面積:40,461㎡
建屋面積:7,144㎡
生産能力:500万セル/年
操業開始予定:2026年9月