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”朝鮮半島有事”で株価暴騰は愚かな幻想

2017年4月27日
”朝鮮半島有事”で株価暴騰は愚かな幻想

 きな臭い話が持ち上がっている。大陸間弾道ミサイルの発射実験や核実験を繰り返す北朝鮮に対して、米国が堪忍袋の緒を切って攻撃し「米朝戦争」が勃発するのではないかという物騒な話だ。

「朝鮮半島有事なら『特需』が起きる?!」

 新聞には、週間ポスト2017 年4月28日号の「市場関係者が『言いたいけど言えない』という話『朝鮮半島有事なら『特需』が起きる?!』というの広告欄の大見出しが躍った。朝鮮半島が戦場になるようなことがあれば一大事だ。「『特需』が起きる」という見出しもそこからきているようだ。連想されるのが、戦後間もないころ、日本経済の復興を支えた朝鮮戦争による”特需景気”だ。朝鮮半島を戦場にした米朝戦争で「特需」が生まれ、日本は「特需景気」に沸いた。日本の経済が上向くとの短絡的な観測は、ここから生まれたようだ。

ネットにあふれる短絡的な観測

 気になってネットで検索してみると「朝鮮半島緊張 日経平均年初来安値の中、上昇する銘柄も」という記事が見つかった。読んでみると、一部の防衛関連株に上昇の動きがあり、防衛部品・軍需部品製造に関係する特定の銘柄を挙げて、いかにも特需が起きて株価が上昇するかのように煽り立てている。

北朝鮮のミサイルの矛先 日本に

 しかし、今の世界情勢はそれほど甘くはない。北朝鮮が米国から先制攻撃を受けた場合、北朝鮮も黙ってはいない。北朝鮮も核兵器を保有しており、ミサイルの矛先は米軍基地がある日本に向いているのだ。日本も戦場になるのは避けられず、大きな被害が出るのは目に見えている。そんな最悪のシナリオを想定せずに日本だけが経済的な利益を得られると思うこと自体がナンセンスで、あり得ない話だ。

デマに惑わされず冷静に

 世の中が荒れると人の心も荒み、流言飛語が飛び交うことは歴史が証明している。事実、「朝鮮半島で戦争が起きる」という情報の出元は日本人が書いたブログだというからあきれてしまう。こうしたデマに惑わされて株の「買い」に走ったりしたら大損をすることが目に見えている。いたずらにデマを信じ込み、騒動を煽ったりする愚かな行動は避け、世界情勢を冷静に分析できるしっかりした「目」を持ちたい。

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